【初心者向け完全ガイド】アクアテラリウムの始め方:必要な機材から立ち上げステップまで徹底解説

水槽の中に広がる「水中世界」と、緑あふれる「陸上世界」。その両方を一つの水槽で楽しむことができるのが、アクアテラリウムです。

「部屋に本格的な自然の景色を取り入れたい」「魚も植物も両方育ててみたい」そんな憧れを持つ方に、アクアテラリウムは最高の趣味となるでしょう。

しかし、「なんだか難しそう…」「機材は何を揃えればいいの?」と、最初の一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。

ご安心ください。この記事は、これからアクアテラリウムを始めたい初心者の方に向けて、必要な機材の選び方から、具体的な立ち上げ手順、レイアウトのコツまでを網羅した「完全ガイド」です。

この記事を最後まで読めば、あなたも自信を持って、自分だけの小さな「水陸の世界」を作り始めることができます。


この記事でわかること
  • アクアテラリウムの魅力と基本
  • 【全リスト】必要な機材と用品の選び方
  • 失敗しない!陸地と水場の作り方
  • 立ち上げの具体的な全ステップ
  • 初心者向けの植物と生体の選び方

1. アクアテラリウムとは? その魅力と基本

アクアテラリウム(Aqua Terrarium)とは、その名の通り「アクア(水)」と「テラ(陸)」を組み合わせた言葉です。

一般的な水槽(アクアリウム)が水中のみで構成されるのに対し、アクアテラリウムは水槽内に「水場」と「陸地」の両方を作り、水辺の環境を再現します。

■ アクアリウム・テラリウムとの違い

それぞれの違いを簡単に整理しましょう。

アクアリウム

水中 100%

(魚)
(水草)

特徴: 水中のみで構成。魚や水草の飼育・育成がメイン。

テラリウム

陸上 100%

(観葉植物)
(コケ)

特徴: 陸地のみで構成。陸上植物やコケ、爬虫類などがメイン。

アクアテラリウム

水場 + 陸地

(魚)
(陸上植物)

特徴: 水辺の環境を再現。両方の要素を同時に楽しめる。

■ アクアテラリウムの魅力

  • レイアウトの自由度が無限大: 水草だけでなく、コケや観葉植物、シダ植物なども使えます。石や流木を組み上げてダイナミックな滝や崖を作ることも可能です。
  • 多様な生体を飼育できる: 水中には魚やエビ、陸地にはイモリやカエルなど、水陸両用の生体(※)を飼育できるのも魅力です。(※生体を選ぶ際は、必要な環境が合っているか十分確認してください)
  • 究極の癒し空間: 水の音、緑の植物、泳ぐ魚…「自然そのもの」を凝縮した景観は、他にはない圧倒的な癒しを与えてくれます。

2. 【ステップ0】アクアテラリウムに必要な機材・用品 完全リスト

まずは、アクアテラリウムを立ち上げるために必要なものをリストアップします。「何を基準に選べばいいか」も併せて解説します。

(1) 水槽

アクアテラリウムでは、陸地部分を作るため、通常の水槽よりも「背の高い」水槽が適しています。また、陸地部分のメンテナンス(霧吹きなど)がしやすいよう、前面が斜めになっているものや、前面に扉がついている「テラリウム用ケージ」も人気です。

  • 初心者におすすめのサイズ: 幅30cm〜60cm程度。小さすぎると水質や湿度の管理が難しくなり、大きすぎるとレイアウトが大変になります。まずは幅30cmまたは45cmのハイタイプ水槽から始めるのがおすすめです。

(2) フィルター(ろ過装置)

アクアテラリウムのフィルターは、水中の汚れをろ過するだけでなく、「陸地部分に水を供給する」という重要な役割も担います。

  • 水中フィルター (ポンプ): 小型で安価。陸地部分の土台(後述)の中に隠し、そこからチューブで水を汲み上げて陸地の上から流す(滝を作る)場合によく使われます。
  • 外部式フィルター: ろ過能力が非常に高い。水槽の外に設置するため、水景がスッキリします。こちらも、排水パイプを陸地部分まで延長して利用します。
ポイント!
陸地にコケや植物を多く配置する場合、常に水が流れている(湿っている)状態を作る必要があります。そのため、フィルターの排水を利用して陸地に水を循環させる仕組みを考えることが成功の鍵です。

(3) 照明

陸上植物(観葉植物やコケ)と水中植物(水草)の両方を健やかに育てるため、照明は非常に重要です。

  • 植物育成用LEDライト: 必須アイテムです。太陽光の代わりとなり、植物の光合成を促す波長を含んだものを選びましょう。水槽の幅に合ったものを用意します。

(4) 陸地を作るための素材(土台)

水場と陸地を分ける「土台」を作るための素材です。ここがアクアテラリウムの醍醐味です。

  • 石・流木: 最も一般的で、自然な景観を作りやすい素材です。これらを組み上げて陸地の「壁」や「土台」とします。
  • 鉢底ネット / プラスチックカゴ: 軽量で加工しやすいため、土台の「骨組み」として使われることがあります。石や流木で隠して使います。
  • 発泡スチロール: 大きな陸地を作りたい場合、土台のかさ増しに使えます。カッターで自由に形を作れますが、水に浮かないように重石をしたり、シリコンで固定したりする必要があります。

(5) 底床材・化粧砂

  • ソイル (陸地・水中): 陸地部分に敷き、植物を植えるための土壌として使います。水中に使う場合は、水草用の栄養系ソイルが一般的です。
  • 化粧砂 (水中): 水中の前景(手前側)に敷くと、明るい川底のような雰囲気が出ます。
  • 軽石・溶岩石 (陸地の土台): 陸地の土台の「中身」として使います。通水性が良いため、土台が腐敗するのを防ぎ、フィルター(ポンプ)を隠すスペースにもなります。

(6) その他(ヒーター、霧吹きなど)

  • ヒーター (水中): 熱帯魚や、冬場の保温が必要な生体を入れる場合は必須です。
  • 霧吹き: 陸上の植物やコケの湿度を保つために必須です。
  • ピンセット・ハサミ: 植物を植栽したり、トリミング(剪定)したりする際に使います。

3. 【ステップ1】陸地と水場の作り方(レイアウトの基礎)

アクアテラリウムで最も重要かつ楽しい作業が「陸地作り」です。ここでは、初心者が失敗しにくい基本的な陸地の作り方を紹介します。

■ 基本構造のイメージ

多くの場合、陸地の土台の中に「水中ポンプ(フィルター)」を隠し、そこから水を汲み上げて陸地上部から流します。土台の中は、水が循環できるように軽石などを詰めます。

【図解】アクアテラリウムの基本構造(断面図)

水場
(化粧砂)
陸地
土台(軽石など)
※通水性確保
ポンプ

↓水

ソイル(植物を植える)

■ パターン1:石や流木で組む方法(王道)

難易度:★★☆

自然な景観を作りやすい、最もポピュラーな方法です。

  1. 水槽内に、水中ポンプ(フィルター)を設置する場所を決める。
  2. ポンプを囲むように、大きめの石や流木を組んで「壁」と「土台」を作る。(※この時、石同士の隙間をパテなどで埋め、陸地側のソイルが水場に流れ込まないようにすると尚良い)
  3. 土台の中に、通水性を確保するために軽石や溶岩石(粗目)を入れる。
  4. ポンプから陸地の最上部までチューブを伸ばす。
  5. 陸地部分にソイルを敷き、植物を植えるスペースを作る。

■ パターン2:鉢底ネットやカゴを使う方法(初心者向け)

難易度:★☆☆

形が崩れにくく、ソイルの流出も防ぎやすいため、初心者におすすめの方法です。

  1. 100円ショップなどで売っているプラスチックカゴや、鉢底ネットを加工して「陸地の骨組み(箱)」を作る。
  2. 水槽内の水場部分に化粧砂を敷く。
  3. 骨組み(箱)を水槽内に設置する。この時、箱の中に水中ポンプを設置するスペースを確保しておく。
  4. 箱の中に軽石を敷き、その上にソイルを入れる。
  5. 箱の側面が見えると不格好なので、石や流木、コケなどを貼り付けて隠す。
レイアウトのコツ!
陸地と水場の境界線は、あえて複雑にすると自然に見えます。直線の境界線ではなく、石や流木を使い、陸地が水場にせり出している部分などを作ると、グッと本格的なレイアウトになります。

4. 【ステップ2】アクアテラリウム立ち上げ 5つの手順

機材とレイアウトのイメージが固まったら、いよいよ立ち上げ作業です。以下の手順で進めましょう。

  1. ステップ1:水槽の設置と機材のセッティング

    水槽を水平で頑丈な台の上に設置します。この時、バックスクリーン(水槽背面のシート)を貼ると、配線や壁が隠れてレイアウトが引き立ちます。
    (写真挿入指示:水槽台に水槽を置いた状態)

  2. ステップ2:陸地の土台作成

    「ステップ1(陸地と水場の作り方)」で解説した方法で、水槽内に陸地の土台を作っていきます。この段階で、水中ポンプやヒーターを設置し、配線やチューブも陸地の上部まで取り回しておきます。
    ※注意:この作業が全工程で最も重要です。納得がいくまで作り込みましょう。
    (写真挿入指示:陸地の土台(石組みなど)が完成し、ポンプが設置された状態)

  3. ステップ3:底床材(ソイル・砂)を敷く

    水場部分に化粧砂、陸地部分にソイルを敷きます。ソイルが水場に流れ込まないよう、土手(石や流木)でしっかり仕切ることが重要です。
    (写真挿入指示:ソイルと砂を敷き終えた状態)

  4. ステップ4:植物の植栽と注水

    まず、陸地部分に霧吹きでソイルを湿らせながら、陸上植物やコケを植栽します。その後、水場部分にゆっくりと水を注ぎます。(ソイルが舞い上がらないよう、ビニール袋や皿の上から注ぐと良いでしょう)
    水草もこのタイミングで植えます。
    (写真挿入指示:植物を植栽し、水を注いでいる写真)

  5. ステップ5:フィルター・照明の稼働

    規定の水位まで水を入れたら、フィルター(水中ポンプ)の電源を入れます。陸地の上部から水が狙い通りに流れるか確認しましょう。照明を設置し、タイマーで管理(1日8時間程度)します。
    これで立ち上げ完了です!
    (写真挿入指示:全ての機材が稼働し、水が循環している完成直後の写真)


5. 【ステップ3】植物と生体の導入

レイアウトが完成したら、いよいよ命を吹き込みます。

■ 初心者におすすめの植物

【陸上植物・コケ】

  • シノブゴケ、ハイゴケ: 湿度の高い環境を好み、陸地の土留めにも最適。
  • アヌビアス・ナナ(プチ): 本来は水草ですが、根が水に浸かっていれば陸上でも育つ丈夫な種類。
  • プテリス(シダ植物): 涼しげな葉が水辺の雰囲気を高めます。
  • テーブルヤシ: 小型のヤシ。レイアウトのアクセントに。

【水中植物(水草)】

  • ウィローモス: 石や流木に活着させます。水中でも陸上(高湿度)でも育ちます。
  • ミクロソリウム: 丈夫で初心者向け。流木に活着させます。
  • クリプトコリネ: 種類が豊富。水中のワンポイントに。

■ 生体(魚・両生類)の導入

生体を導入するのは、必ず水槽立ち上げから1〜2週間後にしてください。

これは、水中のろ過バクテリアが育ち、魚が住める環境(水質)が整うのを待つためです(=「水作り」)。

  • アカヒレ: 低温にも強く非常に丈夫なため、パイロットフィッシュ(水作りのため)にも最適。
  • メダカ: 日本の環境にも慣れており、飼育しやすいです。
  • ヤマトヌマエビ: コケ取り(お掃除)役として大活躍します。
  • イモリ (アカハライモリなど): アクアテラリウムの定番生体。陸地と水場を活発に行き来する姿が可愛らしいです。(※ただし、脱走の名人なので、水槽には必ずフタをしてください!)

6. 初心者がつまずかないためのQ&A

Q. 陸上のコケや植物がカビてしまいました…
A. 風通し(空気の流れ)が悪いことが原因です。
アクアテラリウムは湿度が高くなりがちで、空気が淀むとカビが発生しやすくなります。対策として、水槽のフタを少し開ける、または小型のPCファンなどで水槽内に緩やかな空気の流れを作ると劇的に改善します。生えてしまったカビは、見つけ次第すぐに取り除いてください。
Q. 水換えはどうすればいいですか?
A. 1〜2週間に1回、水場部分の水を3分の1程度交換します。
陸地があるため水量が少なく、水質が悪化しやすいため、通常のアクアリウムより少し高めの頻度で行うのが安全です。また、蒸発して減った水は、カルキ抜きした水を足してください。
Q. 陸地の植物が枯れてしまいます。
A. 「光量不足」または「根腐れ」の可能性が高いです。
照明が植物育成用のLEDでない場合、光が足りていないかもしれません。また、陸地の土(ソイル)が常にビシャビシャだと根腐れを起こします。フィルターからの水流が強すぎる場合は調整し、ソイルが「湿っている」程度になるのが理想です。

7. まとめ:さあ、自分だけの「水陸の世界」を作ろう!

アクアテラリウムは、機材の選び方と「陸地と水場の構造」さえしっかり押さえれば、初心者でも決して難しいものではありません。

この記事で紹介したステップを参考に、まずは小さな水槽から、あなただけの「水辺の景色」を創造してみてください。

レイアウトに正解はありません。石を組むのも、植物を植えるのも、すべてがクリエイティブで楽しい時間です。

あなたの挑戦を応援しています!