「作り上げたパルダリウムに、命を吹き込みたい」
「植物だけでなく、生き物も一緒に飼育してみたい」
植物が茂る「小さなジャングル」に、カエルやイモリといった生き物が加わると、その魅力は格段にアップします。
しかし、パルダリウムは「高湿度」「(比較的)狭い空間」「陸と水が混在」という特殊な環境。どんな生き物でも飼えるわけではありません。
この記事では、パルダリウムという環境に適したおすすめの生体(両生類、爬虫類、魚類)を厳選して紹介! さらに、初心者〜中級者が失敗しないための飼育のポイントや、気になる「混泳」の可否まで、プロの目線で徹底解説します。
🦎 生体導入の前に!パルダリウム飼育「3つの大原則」
生き物を迎える前に、植物だけのレイアウトとは根本的に異なる「3つの重要ポイント」を必ず確認してください。
🚨 パルダリウム生体飼育の3原則 🚨
- 【原則1】脱走対策を「完璧」にする
カエルやヤモリは、私たちが想像する数ミリの隙間からでも脱走します。ケーブルを通す穴、フタの隙間などは、ウレタンフォームやステンレスメッシュで「物理的に」完全に塞いでください。これは最も重要な作業です。 - 【原則2】生体の「すみか」をレイアウトに組み込む
ただ植物を植えるだけではNG。生体が隠れるシェルター(流木の陰、コルク樹皮の裏など)や、水場、登るための枝など、その生体の習性に合わせた「生活空間」を意識してレイアウトする必要があります。 - 【原則3】植物へのダメージは「覚悟」する
生体は植物を踏みつけ、ソイルを掘り返し、時には食べてしまうこともあります。繊細な植物は避け、丈夫な植物を選ぶか、多少のダメージは許容する心構えが必要です。
🐸 パルダリウムの主役!おすすめのカエル(両生類)4選
高湿度を好み、レイアウトにも映えるカエルは、パルダリウムの主役として最も人気のある生体です。
① ヤドクガエル (各種)

パルダリウムと言えばヤドクガエル、と言われるほどの代表種。青、黄、赤など、息をのむような美しい色彩が魅力です。
- 特徴: 昼行性で観察しやすく、レイアウト内を活発に動き回ります。
- ポイント: 飼育下繁殖個体(CB)には毒はありません。餌はショウジョウバエや小型のコオロギなど、生きた小型昆虫が必須です。
- おすすめ種: マダラヤドクガエル、コバルトヤドクガエル、アイゾメヤドクガエルなど。
② アメフクラガエル

「きなこまぶしわらびもち」などと形容される、まん丸な体型と愛嬌のある顔が人気のカエルです。
- 特徴: ほとんどの時間を地中(ソイルの中)で過ごします。餌の時間になると顔を出す姿が愛らしいです。
- ポイント: レイアウトの美観よりも、厚く敷いたソイル(潜れる深さ)が重要です。乾燥に弱いため、湿度は高めに保ちます。
③ ベトナムコケガエル

その名の通り、苔に完璧に擬態したユニークな姿のカエル。ゴツゴツした質感がたまりません。
- 特徴: 半水棲で、水辺と陸地を両方利用します。夜行性で、日中はじっとしていることが多いです。
- ポイント: 泳げる程度の水場が必須です(アクアテラリウムに近い環境)。中型〜大型になるため、45cm以上のケージを推奨します。
④ アカメアマガエル

鮮烈な赤い目、鮮やかな緑の体、脇腹の青と黄色の縞模様が美しい、樹上性のカエルです。
- 特徴: 樹上性で、日中は葉の裏などで眠っています。夜になると活動を開始します。
- ポイント: 高さのあるケージと、登るための流木や太めの植物が必要です。夜行性のため、日中の観察にはあまり向きません。
🦎 陸と水辺の住人!おすすめイモリ・ヤモリ 4選
カエルとはまた違った魅力を持つ、イモリ(両生類)やヤモリ(爬虫類)のおすすめ種です。
① アカハライモリ・シリケンイモリ

日本の固有種(亜種含む)で、古くから親しまれているイモリ。非常に丈夫で初心者にもおすすめです。
- 特徴: 陸地と水場の両方を利用します。特にシリケンイモリは陸地を好む傾向があります。
- ポイント: 陸地と水場を明確に分けた「アクアテラリウム」寄りのレイアウトが最適です。脱走が非常に得意なので、フタの隙間は厳重に塞ぎます。
② ファイアサラマンダー
![マダラファイアサラマンダーの基本情報と飼育方法……温度や床材は? [爬虫類・両生類] All About](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/1200/900/aa/gm/article/7/0/6/0/4/1666589332/topimg_original.jpeg)
黒い体に鮮やかな黄色の模様が入る、非常に美しい地表性のサラマンダー(イモリの仲間)です。
- 特徴: 陸地性で、ほぼ水に入りません。夜行性で、日中はシェルターに隠れています。
- ポイント: 極端な高温に非常に弱いため、夏場は25℃以下(できれば20℃前後)を維持するクーラー対策が必須です。水場は体が入る浅いタッパー程度で十分です。
③ ヒルヤモリ (グランディスヒルヤモリなど)

鮮やかな緑色の体に赤い模様が入る、美しい樹上性のヤモリ(爬虫類)です。ヤモリとしては珍しく昼行性です。
- 特徴: ガラス面や葉に張り付き、立体的に活動します。果実(昆虫ゼリーなど)も食べます。
- ポイント: 爬虫類であるため、UVB(紫外線)ライトと、局所的に体を温めるバスキングスポットライトが必須です。
④ クレステッドゲッコー (オウカンミカドヤモリ)

「クレス」の愛称で知られ、人工飼料(クレスフード)で飼育できる手軽さから非常に人気の高いヤモリです。
- 特徴: 夜行性・樹上性。ハンドリング(手に乗せること)にも比較的慣れやすいです。
- ポイント: 高さのあるケージと、登り木、隠れ家になる植物(ポトスなど)が必要です。UVBは必須ではありませんが、あった方が健康に育ちます。
🐟 水場を彩る!パルダリウムで飼える小型魚・甲殻類
パルダリウム内に「水辺」や「小さな池」を作った場合、そこにも生き物を入れることができます。ただし、水量が限られるため、水質管理が非常にシビアになります。
水場で魚を飼う際の最重要注意点
パルダリウムの水場は、通常の水槽と比べて水量が極端に少ないです。そのため、水質悪化と酸欠が非常に起こりやすいです。こまめな水換え(週1〜2回)が必須であり、生体の数は最小限(1〜2匹程度)に抑えてください。
① メダカ・アカヒレ

丈夫で低水温にも強く、小さな水場でも飼育しやすい定番の小型魚です。酸欠にも比較的強いです。
② ベタ

「ラビリンス器官」という空気中から直接酸素を取り込む器官を持つため、低酸素に非常に強い魚です。パルダリウムの水場には最適ですが、熱帯魚なので冬場は水場用の小型ヒーターが必要です。
③ ヤマトヌマエビ・ミナミヌマエビ

水場のコケや食べ残しを掃除してくれる「メンテナンス生体」として活躍します。ただし、陸地に上がって脱走することがあるため注意が必要です。
⚠️【最重要】パルダリウムでの「混泳」は可能?
「カエルとイモリを一緒に飼いたい」「ヤモリと魚を同じケージで見たい」と考える方は多いですが、パルダリウムでの異種混泳は、原則として「非推奨」です。
混泳を推奨しない理由
- 捕食リスク: 口に入るサイズの生き物は、たとえ仲間でも食べてしまいます。
- 毒のリスク: イモリ(フグ毒)や一部のカエル(皮膚の毒)は、他の生体にとって致命的です。
- ストレス: 狭い空間に他種がいると、お互いが強いストレスを感じ、拒食や病気の原因になります。
- 環境の違い: 必要な温度、湿度、餌が異なる場合がほとんどです。
比較的「可能」とされる組み合わせ(上級者向け)
十分な広さがあり、管理が徹底できる場合に限られますが、以下の組み合わせは試みられることがあります。
| 組み合わせ | 理由 | 注意点 |
|---|---|---|
| 小型ヤドクガエル + 小型魚 (メダカ等) |
生活圏が 「陸」と「水」で 完全に分離 |
カエルが溺れない水深にすること。水質管理の徹底。 |
| 樹上性ヤモリ (ヒルヤモリ) + 地表性カエル (アメフクラ等) |
生活圏が 「上」と「下」で 分離 |
夜間にヤモリがカエルを襲う可能性ゼロではない。餌の管理が煩雑に。 |
初心者のうちは、「1つのケージには、1種類の生体のみ」という原則を守るのが、成功への一番の近道です。
🛠️ 生体導入後の管理とメンテナンス
生体を入れると、植物だけの管理に「2つの作業」が加わります。
① 餌やりとダスティング
カエルやヤモリの多くは生きた昆虫(コオロギ、ショウジョウバエなど)を必要とします。
- ダスティング: 生き餌には、生体の骨格形成に必要な「カルシウム剤」や「ビタミン剤」をまぶす作業(ダスティング)が必須です。これを怠ると、クル病などの病気にかかります。
- 人工飼料: クレステッドゲッコーやイモリなど、人工飼料で飼える種類もいます。
② フン・食べ残しの掃除と水換え
植物だけの環境と違い、生体はフンをし、餌を食べ残します。これらはカビや悪臭の最大の原因です。
- 陸地: フンや食べ残しを見つけ次第、ピンセットやスポイトで取り除きます。
- 水場: 魚やイモリがいる水場は、驚くほど早く汚れます。最低でも週に1〜2回は、スポイトなどで水を抜き、新しい水と交換してください。
❓ パルダリウム生体飼育 Q&A
Q1: 生体はいつから入れられますか?
A1: レイアウト完成から最低でも1〜2週間は空けてください。植物が根付き、ケージ内の環境(湿度・温度)が安定するのを待つためです。また、その間にカビが発生しないかなどをチェックします。
Q2: 餌のコオロギがケージ内で繁殖しませんか?
A2: パルダリウムの湿ったソイルに卵を産むことはありますが、成虫まで育つのは稀です。それよりも、コオロギが植物の陰に隠れてしまい、生体が見つけられないことの方が多いです。餌皿を使ったり、生体がすぐに見つけられる場所に放す工夫が必要です。
Q3: 病気になったらどうすればいいですか?
A3: 様子がおかしい(ぐったりしている、餌を食べない、皮膚がおかしい)と感じたら、すぐに別のケージ(キッチンペーパーを敷いたプラケースなどでOK)に隔離します。これを「検疫」と呼びます。その後、両生類や爬虫類を診てくれる「エキゾチックアニマル専門」の動物病院に相談してください。
まとめ:生体の特性を理解し、動くパルダリウムを楽しもう
パルダリウムの生体飼育は、植物だけの管理とは違った「一手間」がかかります。しかし、その手間を補って余りある「命の躍動感」を与えてくれます。
生体飼育 成功の鍵
- 脱走対策はこれでもかというほど徹底する。
- 飼いたい生体の習性(陸棲・樹上性・夜行性など)を調べ、それに合わせたレイアウトを作る。
- 混泳は原則NG。「一種単独飼育」が基本。
- フンや食べ残しの掃除を徹底し、清潔な環境を保つ。
- (爬虫類・両生類の場合)カルシウム剤(ダスティング)を忘れない。
まずはあなたのパルダリウム環境に最も適した1種類の生体を選び、じっくりと飼育に挑戦してみてください。きっと、あなたのパルダリウムがさらに特別な空間になるはずです。

